データ視覚化のデザイン書評 〜データ視覚化のプロを目指す人のバイブル〜

  • 2020年6月21日
  • 2020年6月22日
  • 書評

皆さんこんにちは、データラーニングギルド代表の村上です。

この度、著者の永田ゆかりさんからご献本頂きましたので書評記事を執筆して行きたいと思います!


この書籍に関しては、表紙のデザインを決める際に私が運営するデータラーニングギルド内でアンケートを取ってもらったりと制作過程の一部に協力頂いたこともありまして、どんな書籍になるのか楽しみでした♪

書籍を読んでみての感想としては、一言でいうと「データ視覚化のプロを目指す人のバイブル」と言えるでしょう。

今まで、データの視覚化に関する書籍といえば、松本健太郎さんの執筆された「グラフをつくる前に読む本」、「データビジュアライゼーションの教科書」などがあり、どちらかというと初心者向けの書籍といった印象でしたが、この「データ視覚化のデザイン」に関してはプロを目指す人のために書かれた書籍という印象でした。

それでは、具体的に書籍の見所、どんな方に向いているかに関して解説して行こうと思います!

書籍の見所

テクニック論ではなく「なぜそうするのか?」と言う所を解説している

この書籍の一番のポイントとしては、ここが一番大きいかなと思います。人間の心理的がどのように働くからそのデザインを採用すると良いのかという所まで深掘りしています。

例えば、人間の記憶に関しては、感覚記憶→短期記憶→長期記憶という流れになっている。だから、感覚的にわかりやすい、認知負荷の低いビジュアライズが良いですよね。という所まで紐解いてあります。

そういった本質的に大事なポイントが抑えられているので、こちらの書籍に書いてあることが理解できれば応用力もかなりつくのではないかなと思いました!!

データ分析をする上で使用するであろう視覚化表現が網羅されている

第3章では代表的なグラフだけではなく、データ分析で使うであろう視覚化技術が網羅されています。そのため、何かグラフを作る際に困ったことがあった時には辞書的に活用することもできるかなと思います!

活用を意識した内容になっている

そして、第4章、第5章では具体的な事例と共にダッシュボードの設計に関して解説したり、組織として活用するにはどうすれば良いかに関して書かれています。ダッシュボードや視覚化の技術に関しては誰かに「使って貰う」ための技術なため、「誰に」、「どう見せるか」というところが重要になって来ますが、それらに関して永田さんの経験も踏まえて解説されています。

それでは、各章に関してさらっと解説させて頂きたいと思います。

各章解説

第1章 データ視覚化「キモのキモ」

第1章では、

  • 人間がどう視覚情報を認知するかに関する解説とそれに対応した良いグラフの作り方
  • 「データ」を視覚化する際に気を付けるべきポイントと視覚化の効果

といったトピックに関して執筆してあります。視覚化の効果というのは一言で言うと「人間が認知しやすいように情報を整える」と言うことだと思いますので、適切にアウトプットをするためには「人間がどう認知するか?」ということを意識して視覚化をしてあげる必要があるかと思います。

この章では、そういった「情報の受け取られ方」を解説して、それを避けるための具体的な事例が記載されていました。人によって色覚が違うので、ユニバーサルカラーなどの色を活用するという部分は意識したことが無かったので、非常に参考になりました。

第2章 これだけでグッとプロっぽくなるコツ

第2章では、いかに視覚化のクオリティを上げるかに関して書かれてあります。色、テキスト、レイアウトがどんな効果を持っていて、どう組み合わせる問いいかに関して書かれています。データの視覚化に限った話ではない、デザインとしての原理原則を説明してある章となっています。

第3章 目的に応じたチャートの選択

第3章では、量を表すデータの視覚化、割合を表すデータの視覚化、地理空間を表すデータの可視化、扱うデータ毎や表現ごとの適切な可視化方法が網羅的に解説してあります。

代表的なグラフではなく、データ分析で使うであろうほぼ全てのグラフを網羅してある(※1)のが特徴的でした。

  • 3D円グラフや軸をずらさないと言ったアンチパターンの解説
  • ラベルが密集してしまった際の有効な視覚化手段
  • ヒストグラムのビン幅の設定の注意点
  • 認知負荷を下げるための色使い

グラフを作る際のデフォルト設定がそうなっているから(※2)という理由で自分もやってしまっているような所が節々にありましたので、気をつけなきゃなと思いました。データの視覚化を体系的に学んだことが無いという方に関しては、一通り頭の中に見出しを入れておいて、グラフを作る際に都度参照すると良いんじゃ無いかなと思います!


※1 自然言語解析で用いるワードクラウド、ネットワーク分析で用いるネットワーク図のような特定分野に特化した視覚化は入っていないので、実務で使用する90%くらいをカバーしている印象です。
※2 Excelやtableauはビジュアライズに強いツールなはずなのでデフォルト設定でここら辺を盛り込んで欲しい所ですw

第4章 事例で学ぶ−ダッシュボード作成過程思考キャプション−

4章・5章からは具体的に利用シーンを想定して書いてあります。4章では、

  • 世界時価総額ランキングー棒グラフの神秘ー
  • デジタルマーケティングーペイドメディアー
  • モバイルデバイスでのYTD/YoYの理解

など、具体的な事例を題材に、誰に、何のために、何を、どう見せるのか、いつどこで使うのかといった5W1Hにあたるオーディエンス、目的、利用方法、設定した要求仕様をに基づいて、「なぜこのようなデザインのダッシュボードになったか?」ということを記載してあります。

また、各デザインに記載されてある「思考のキャプション」のトピックが秀逸で、どういう思考プロセスを辿ったかを記載してあり、永田さんの思考をトレースすることができます。How to本は多くあっても、How toを具体的なアウトプットとして適用するまでのアウトプットのプロセスを辿った本はなかなかありませんので、プロの人がどのように考えるかの思考方法に触れることができる、貴重なトピックになっていると思います。

第5章 本当に組織に根付かせるために

第5章は、構築したダッシュボードを組織で活用して行くためにどうしたら良いのかの章となっています。自分の経験上も、ここが一番のネックになってくる所です。ダッシュボードを「作る」所までのハードルは実はそんなに高くなくて、むしろ、ダッシュボードを作ってからからがスタートラインです。組織的に活用して「価値を出す」ためにはさらに何段もハードルがあるように感じます。

ダッシュボードを作ってからフェーズによって内容を変えて行ったり、ダッシュボードの構築→考えるというプロセスを回したり、いかに組織に根付かせていくかであったりを紹介(※3)してあります。この章は、現場で多くのクライアントをサポートして来た永田さんだからこそ書ける章なのではと思います。

※3 ここを真剣にやるとこれだけで書籍1冊分になりそうなので、「こんなことを考えると良いよ」というトピックを抜粋しているイメージです。

どんな人が読むと良さそうか?

データ視覚化のプロになりたい人のための一冊

こちらの書籍ですが、どのような人にオススメしたいかというと、「データを扱うプロフェッショナル」を目指す人に是非読んでみて頂きたい一冊でした。具体的には、

  • データサイエンティストのようなデータ分析を主軸にしている方
  • BIエンジニアのようなダッシュボードの構築を主軸にしているような
  • コンサルタントや広告代理店のような図表を頻繁に使う方

「Why + 事例」という構成で本質的な原理原則を解説しているため、視覚化のプロフェッショナルを目指す人にとってはバイブルとなり得る一冊だと思います。是非読んでみて頂きたいなと思いました。

一方、抽象度が高いので、これからデータ分析人材を目指す方には少しハードルが高いかなという印象がありました。実際に図表を日常的に作っていないと、あんまり刺さらないのではと思います。そう言った方に関しては、以下で紹介するコンテンツを併読して、十分理解した段階でこちらの書籍を読むと理解度も上がるかなと思います。

並行して読むと良さそうなコンテンツ

データビジュアライゼーションの教科書

こちらの一冊ですが、日本語で書かれた数少ない日本語書籍となっています。恐らく、こちらの書籍が初心者をターゲットにしているため、ターゲットを差別化したんだろうなと思います。

こちらの書籍に関してはデータ分析の初学者が抑えておくべき視覚化のHow toが多く記載されています。一方で、「なぜそのデザインにするのか?」という所に関しては若干弱いかなと感じる部分があるので、こちらの書籍で「こんな風に視覚化すると良いんだ」と理解した後に、「なんでそういう風に視覚化すると効果的なの?」を紐解くためにデータ視覚化のデザインを読む。という形が良いのかなと思います。

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TomoyukiArasuna.com

【追記】この記事をきっかけに、名著「ノンデザイナーズ・デザインブック」の20周年記念特典eBookの制作に協力させていた…

こちらに関しては、データビジュアライズに関して非常に丁寧に解説してあるサイト、コンテンツとなっています。2章に関しては若干ボリュームが少ないなと感じたのですが、恐らく、一般的なデザイン本や資料作成に関する書籍で多く語られている内容なので紙幅の関係上簡易な解説に留めたのだと思います。

ただ、そこに関しては多くの良質なコンテンツがWeb上で公開されていますので、こちらの特に、ダッシュボード構築だけではなく、視覚化→レポーティングまでを仕事としているような方には非常に参考になるのではと思います。

まとめ

以上、「データ視覚化のデザイン」に関して紹介させて頂きました。データ分析の教育をしている身としては、データの視覚化に関する書籍がまだまだ少なかったので、オススメできる書籍が出てくれて非常に嬉しいです!!

こちらの記事を執筆されている永田さんですが、Data Viz Labというメディアも運営されていて、そちらのコンテンツのクオリティもハンパないです!!

また、オンラインサロンも運営していまして、月額3000円でコンサルの知見に触れられるという破格の内容となっていますので、書籍を読んでダッシュボード構築やデータ視覚化に関して相談したいと思った方は是非参加してみてください!!(※4)

※4 献本頂いただけで、紹介料などは頂いてないですからね!! 献本に慣れてないので嬉しくてつい書きすぎてしまいます。

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